【2日目:濃霧&爆風の鳥海山】

日程:2008年8月3日
行程:滝の小屋〜河原宿小屋〜湯ノ台道〜行者岳〜大物忌神社(下山も同ルート)



寝ている間も、幾度と急にバタバタと吹く突風のようなもので起こされる。
かなりキツイ風なのか、車もかなり揺れていた。

そして次起こされたときは、大勢の生徒とその父兄達の声。
あ、少し寝坊した・・・

準備を始めようとするがガスってて天気もイマイチだし、
風も強いし乗り気になれない。

ねむ〜い・・・もうちょっと寝たい・・・
曇りの日の私のお決まり怠けモード。

でも、天気予報は晴れ。。
予報を信じて、さて、登りますか。



1日目:滝の小屋→河原宿小屋→行者岳→新山→大物忌神社

2日目:大物忌神社→七五三掛→御浜小屋→蛇石流分岐→幸治郎沢→河原宿小屋→滝の小屋

の予定で小屋1泊する準備をして出発。





☆滝の小屋 登山口




☆少し行くと白糸の滝からの川


晴れてたらもっと綺麗だろうな〜




☆滝の小屋到着

お天気のせいか、何だか寂しい雰囲気





雪渓が現れる。


写真の上に少し見える雪渓を通らなければならなかったが、
夏の雪渓だし、大丈夫だろ〜って思ってたら・・・
ストックで突くと、カチンカチンに凍ってます。
ツルンツルン!

さすが曇り
さすが東北

寒いんだね〜

このお天気で心も寒い・・・
一人だし、寂しいし・・・


って、ぶつぶつ言いながら、
ほぼ氷の雪渓を5メートルくらいだったので慎重に歩いて登る





少し行くと、お花が沢山咲いていた。




はぁぁ〜↓↓↓

晴れだったらな〜




まだこの辺までは視界も良かった。


でも段々と・・・





視界は悪くなり・・・




お花は咲き乱れているのに・・・(T_T)

でも、予報は晴れだ!
そのうち晴れる!

きっと、晴れる!



そう信じていたが、いっこうに晴れない。




河原宿に着くと霧でTシャツやザックが結構湿っている。

「はぁ・・・」
テンションが上がらない。
「このままの天気だったら1泊せずに下山しようかな〜」

そろそろ心字雪渓が姿を現すはず・・・
少し行くと見えてきた。


元々の標識が少ないのか、
霧のせいで見えないのか、標識が全然みつからない。

10名くらいのパーティーに追いついたので、てくてく付いて行ってみた。
最後尾の人とお話が始まって、その話の内容から
山形市の山岳会の方々だと分かった。
先頭と最後尾で無線連絡していた。

「どこから来られたんですか?」

私:「関西から来ました」

そう答えると、

「えーーーー!!そんなに遠くから!」

と、えらいビックリされました。

私:「このあたりは標識があんまり見当たりませんね?」

「北アルプスと違って東北の山はあまり標識は充実していないんです。」

そうだよな〜
でも、北アを当たり前と思っちゃいけないよね。
北アって結構地図見なくても歩けちゃったりする。

標識があることを当たり前だと思っちゃいけない。
地図を見て、方向を自分自身で確認して、歩くのが普通なんだよな。
最近、これを勘違いしている人が多い。

雪渓のところまで来ると、全く視界が悪くなっていて、
どのように歩いていいか分からない。
矢印もない。
雪渓の雪が固くて、足あとも付いていない。

私がきょろきょろしていると、
「雪渓こえるところまで一緒にどうですか」

と言ってくれた。

ありがたや、ありがたや。



数メートル先は、視界ゼロ。

どこかに消えて行っちゃいそう・・・





至近距離でもこれだけ視界が悪い。



☆やっと見つけた標識

こんなお天気で、さらに一人ぼっちでテンションの低かった私は
山岳会の方々との会話が楽しくてしばらく一緒に歩いていた。

でも、前後の無線やり取りしている方以外は、
少し高齢の方ほとんどで、休憩が多くて、ペースが遅かった。

このまま行くとちょっとやばいかなぁ・・・って思っていると、ある休憩のとき、
「わしらはこのペースでは、新山には到着できん。
せっかく遠くから来たんだから、若者は先に行って新山まで行きなさい。」

心の中「やっぱり^^;?!」

みなさんに、いっぱいいっぱいお礼を行って先を急いだ。
するとどんどん強くなる風。

すれ違う人は、みんな、神社や新山までは行かず、
あきらめて引き返して来る人だった。

行者岳から少し行ったこの分岐に付いたとき、
一人の男性と一組の夫婦が何やら話をしている。




男性「新山へ行くにはここをまっすぐ行った方が早いんですが、風が強くて通れません。
40分近くしゃがんで風がやむのを待ちましたがダメでした・・・」

夫婦「そうですか・・・」

男性「確か、昔はこっちが正規ルートだったんですよ。
でも、今は×印が付いているんですよね〜。
崖崩れか何かで通れないのかなぁ・・・」

確かに、×印が記されている・・・



男性「でも、梯子もかかっているし・・・僕、行ける所までこっちに行ってみますよ。」

夫婦「私達はここで引き返します。」

男性「そうですか。お気をつけて!」

夫婦「そちらもお気を付けて!」


男性が行こうとしたとき、私も付いていってもいいかたずねると
OKしてくれたのでついていった。
この男性は、河原宿に着くまでに結構なスピードで私を追い抜いていった方。
いかにも山に登り慣れた、風格が漂っていた。

確かに、崖崩れが起こったような跡だった。
その崩れたガレ場の上を通っていった。
視界は悪かったけれど、
ちゃんと、印は付けられていた。

あの×マークは一体?

「こっちの方が全然風はきつくないですよ。
向こうは本当に立っていることも出来ませんでしたから。」

少し行くと、大物忌神社(山小屋)が見えた。
そして、さらに少し行くとまた雪渓があり、「新山↑」と矢印は雪渓の方向を指している。

しかし、小屋付近はまた地形的に何もさえぎるものがなくて風が強くなった。
普通に歩いていても、風でフラついて、まっすぐに歩けなかった。

男性が雪渓をそのまま歩き出したので、
私も行こうとすると、下の雪渓よりカチカチツルツル。
立っているのもままならない上に非常に滑る。

登りはまだいいけど下りは・・・

反対側が結構な崖っぷちだったので、考えるだけでも青ざめた。

男性は、私が付いてきていると思って先に進んでいっている。

私は・・・
やめようと思った。

「すみませーーーーん!すみませーーーーん!」

風の音がすごくて声がとどかない。

「すーみーまーせーーーーーーーーーーん!!」

やっと振り返った。

「やめときます!!! 引き返します!!!」

「頂上へ行って戻ってきますから、良かったら小屋でまっててください!」

と言って、男性は行ってしまった。

そこで気付く。
あ!軽アイゼン!持って来ていたんだった。

付けて行ってみようとした。
けど、さらに風が強まってきた。
半端じゃない風の強さで、ふっとばされそうになる。

怖いと思ったら・・・無理はやめましょう。

色々、無理しようとして怖いことがあった。
しかも、雪の上で。
だから、トラウマも・・・


「やめとこう・・・」


あんな氷みたいな雪渓の上を、しかも立ってられないくらいの強風の中を男性は・・・
日帰り装備の軽い荷物とは言え・・・

無事に帰ってきて・・・


すると・・・

めちゃんこ早く帰ってきた(笑)

「雪渓はあの見えた視界の倍くらいで終わりでしたよ。
そこから新山まですぐでした。」

「そうですか・・・^^;」

すぐそこで悔しいけど、あの風じゃ、私には無理だった。

「せっかくですから、神社のところで記念撮影でもしますか?
ここが鳥海山ですよ。おつかれさまでした。」
何だかあたたかい言葉だった。




これだけガスってると、画像も編集しなくていいわね・・・(笑)



☆参拝をする男性


危ないところをまた一人で通りたくなかったので、
さっきの×印のある分岐まで一緒に行ってもらうことに。



☆チョウカイアザミ


おじさんが教えてくれた。



☆チョウカイフスマ


チョウカイアザミとチョウカイフスマは鳥海山にしか咲かない花。
これが見れただけでもまぁ、良かったかな。




これは何だろう?

キキョウ系?


かけ崩れの場所、写真撮りたかったけど、
ずっと視界が真っ白で撮れず。。



×印のすぐ下にあった梯子。

おじさんはこの梯子を上って、

「じゃぁ、お気を付けて」

と言って行ってしまった。


おじさんに会ってなかったら、私もあのご夫婦と同じように戻っていただろうな。
神社まで行けただけでも良かったかな。


そして、また一人で歩き出す。




どっぴゅーーーん!

写真じゃうまく伝わらないけど、

風が目に見えないならまだしも、ガスが風にその存在を与えて、
吹き上げてくる風に向かって立っていると、
目がくらんで、吹き飛ばされそうになります。

おっかね〜〜

あぶねぇ〜〜







そんな風にして、こんな視界の悪い道をまたひたすら歩き・・・




しばらく行ったところで、さっきお世話になったおじさんが
風の強い中、草の陰にしゃがんでいる。

「ど、どうしたんですか?」

「いや〜、何だか女の子を一人置いていって心配になっちゃってね。
視界も悪いし、雪渓の下りもあるからせめてそこまでと思ってね。」

「そうなんですか〜〜〜!
心配して下さってどうもありがとうございます!」

ありがたいお心遣いでした。

天気が天気だけに・・・
風がとんでもない強風だけに・・・


一人のときは常に気を張ってるから気付かなかったけど、
心のどこかに心細さがあったんだろうね。
しかも、前回の白馬岳で発症した右膝裏がどんどん痛くなってきて、
ちょっと心配だったし・・・

ホッとしてしまいました。

そこからはおじさんも私も、喋る、喋る♪

おじさんは山形県のとある高校の山岳部の顧問の先生だったらしく、

(ここから「先生」と呼びます)

若いときから毎週のように登山に行っていたという。



海外の山もいっぱい行かれたそうで、
命をおとしてもおかしくない雪崩に巻き込まれたこともあるという。

せっかく、関西から来たんだから・・・
ということで、山形県の美味しいものを教えるよ!ってことで、

「だたちゃ豆」

「庄内メロン」

「岩牡蠣」

「蕎麦」


蕎麦って、長野の方が美味しいんじゃないんですか?と聞くと、
山形の人に言わせれば、長野の蕎麦は全然らしい。

先生:「そして、なんてったって、酒田市と鶴岡市はお寿司!
昨日も晩に食べて来たんだよ!」

私:「お寿司、食べたいのは山々だけど・・・やっぱり高いでしょ?
京都じゃ本当に食べようと思ったら1万円近くしますよ(涙)」

先生:「そんなに高いの???山形は美味しくて安いんだよ!
特上でも2000円だったかな。
昨日行ったお店は鶴岡駅前にあるんだよ。
良かったら行ってみたらいいよ。
○○高校の先生に教えてもらったって言ってみたら
ちょっといいこともあるかもしれない。」

私:「行って見ようかな〜」

(2000円くらいならいいでしょ!と、悪魔、現る・・・)



☆河原宿近く




☆行きにはなかったニッコウキスゲ


登っているうちに咲いたんだね。






河原宿を過ぎると少しだけ視界が良くなってきました。




風がきついので、手で固定してごめんなさい。
折ってないからね。


先生は、結局、雪渓こえてからも、
登山口まで一緒に歩いて下さいました。
明日から、家族で韓国旅行だっていうのに、
準備もあったでしょうに、
足がとっても痛い私のペースじゃ遅かったでしょうに。

本当にありがとうございました☆

私はいっつも人にお世話になってばっかりで。

いつか、人の役に立てたら・・・な。




☆滝の小屋登山口からの帰りの道


草木が低くて・・・だだっ広くて、
東北独特なのかな。
だだっぴろいのは独立峰だからかな。。
アルプスにはない、独特の景色。





先生に教えてもらったお風呂「ゆりんこ」へ行って汗を流す。
温泉代400円!!
山形って、ホントなんでも安い。
ガソリンも、滋賀より3円くらい安い。

さっぱりして、
ふぅぅ〜、
おなか減ったなぁ〜
行ってみようかしら、探してみようかしら、
先生の言ってたおすし屋さん♪

風呂上りのドスッピンで駅前のお寿司屋さんに言ってもええかしらん?^^;

酒田から鶴岡まで南下し、鶴岡駅前で
車をゆっくり走らせて

キョロキョロ

ない・・・

キョロキョロ・・・

○×寿司

違う・・・


あ!

あ!

あったーー!

先生の言ってた「一心鮨」

駅前の駐車上に停めてワクワクドキドキしながら向かったけど、
「あれ?ちょっと待てよ?」

私、ちゃんとしたお寿司屋さんって、一人で入ったことないんよね・・・
しかも、こんな短パンにカジュアルすぎるシャツ・・・
しかもスッピン・・・

門前払いくらわないかしら?!

ガラガラガラー、そお〜〜っと、引き戸を開ける。
「いらっしゃいませ〜」
と、おかみさんらしき人。

「あのおぅ〜、一人なんですが・・・いいですかぁ?」

緊張して日本語になってません・・・
どおせ言うなら、「予約してないんですけど、いいですか?」だろ・・・



カウンターに案内される。
両脇におられた2組は、地元の方って感じで、
ちょっとリラックスできた。

「いらっしゃい」
カウンターの中のおやじさん

「今日、鳥海山で、ここのお鮨屋さんによく来られている、○○高校の先生に
ここを教えていただいたんです。昨日も来られたって・・・」

「あぁ!昨日、奥さんと娘さんとで来られてたよ。
よく来てくれたね、ありがとう。どこから来てるの?一人旅?」

こんな会話から、両サイドのカウンターの人々とも会話が始まる。


特上を注文!
順番に並べられていく艶やかで新鮮なお鮨!


美味しそ〜〜!

いっただっきまーーーす☆




カウンターのショーウインドー??
の中にサザエが見えた。
幾らするんだろう・・・
(悪魔出現)

「すみませーーーん、サザエは幾らですか?」

「う〜ん、○×△円!特別価格☆」

「えーーー!本当にいいんすか?やったーーー☆」

山形県はね、旅人に優しい県なんだよ!」

焼くのもいいけど、お刺身にして貰いました。


じゃーーーん☆



☆特別価格のサザエ
わさびにピントがあってるんですが・・・




☆携帯の画像


その他にも、明日、月山に登る予定だって言ったら
隣のお客さんが月山の小屋の奥さんと知り合いだからって
小屋に直接電話して色々情報聞いてくれたり、
おやじさんは、だだちゃ豆追加してくれたり、
お漬物の盛り合わせをくれたり。

特上ネタが一通り終わってからも、
サービスでお鮨をちょこちょこお皿に乗っけてくれたりで、

もう、お腹いっぱい!!

胸もいっぱい!!



本当に本当にありがとうございました♪







一心(いっしん)寿司をどうぞヨロシク!



近くの道の駅でまんぞく気分で就寝・・・zzzzz

おやすみ〜





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