【4日目:夢の世界から一気に地獄へ】

行程:黒部五郎キャンプ場〜黒部五郎岳〜赤木岳〜北ノ俣岳(上の岳)〜太郎平小屋〜三俣山荘〜折立



3:10 起床

寝起きは一応、いつも良い。
今朝もスープとパン。
しかし、パンがあまり喉を通らない。
バテちゃいけないと思って、無理矢理、口に押し込んだ。



5:20 黒部五郎キャンプ場 出発




視界がちょっと悪そうだけど、全くないわけではなく、
先もかろうじて見えるので、予定通りカール経由で。




あ〜、お天気悪そう・・・
回復するのかなぁ・・・





このときは霧雨程度。
まだ雨具着なくても大丈夫。

でも、この先の急登で「雨」が降ってくる。
雨具の上だけ着る。

そして、この急登でもう心が挫けそうだった。
肩が痛い・・・
しかも、4日目で明らかにバテている。

痛みが気分をダウンさせているっていう方が大きいかもしれない。
このままじゃ、太郎平にさえ辿り着けないような気がした。
急登で立ち止まっていたとき、
行程が全く同じで、2日目の雲の平や、3日目にも幾度かお話をしていた
優しい感じのおじさんが私に追いついた。

知っている顔を見て、何だかホッとした。

そして、このおじさんの後を着いていこうと思った。
(おじさん、勝手にごめんね^^;)

こういうときって、前に目標みたいなのがあると不思議と動ける。




7:50 黒部五郎岳



雨と霧で何も見えない中、何とか登頂。
ここでは風で雨が横殴りだった。

ここまで荒れる予報だった???

テントの撤収が雨の中でなかったことだけは幸いだったと思う。
(雨の中のテント撤収ってどうしたらええん?)


さて、後は太郎平まで頑張って歩くのみ!

肩はますます深刻になってきた。
電流が走るような痛み。
半端じゃない。
これは打撲のせいなのか?
違う気がしてきた。

幸い(?)この天気なので、
肩を揺らさず歩くことに集中した。
このとき、もう歩くことを義務としか思っていなかった。
『歩き続ければ必ず着く。だから頑張れ。』
そんなことしか考えていなかった。


途中、ロキソニンを持っていたことを思い出して飲んだけど、
あまり効かなかった。


この辺りの地形は平らなところが多く、
視界が良かったら本当に楽しい道のりなんだそうで。

でも、霧の中にぼんやりと広がるこの大湿原も、
カメラに収めても良さそうなものだった。
むしろ、私はこんな景色も好きなほうだ。

お腹が白くなり始めた雷鳥さんたちも、とっても可愛かったのに・・・

コンパクトデジカメさえ取り出そうとしなかった。
黒部五郎岳を出てから、太郎平小屋に着くまでに撮った写真、
・・・たった、7枚。

しかも、その7枚は全部、太郎山に近づいてからの写真。

それだけ余裕がなかった。
こんなの初めてだった・・・





太郎山手前の湿原1





太郎山手前の湿原2



太郎山を越えると気が楽になった。



太郎平小屋までもうちょっと!





12:25 太郎平小屋 着
(休憩1時間)

あの挫けようからして、この時間に太郎平小屋まで来れたのは奇跡だと思う。
おじさんに大感謝だった。
これで何とかこの日のうちに折立まで下りれそう。

この先は肩がもつ時間のスパンも短くなるだろうから、
やさしいおじさんには先に行ってもらった。
本当にありがとうございました☆



13:25 太郎平小屋 発



ふと、気付くと、リズムに乗ったかのように
半ば駆け足で下っている私を発見しました。

あ、ロキソニン、今頃効いてきた^^;

帰りは私とは逆周りの山行をしていたアンタッチャブルさん(←勝手に命名)にも会った。



15:50 折立登山口 到着







今回の山歩き、もちろん楽しかったには、楽しかった♪
お天気も良かったし、景色も最高だったし、
なんせ今までずっとずっと行きたくて行けずにいた雲の平にも行けたのだから。
自分でテントかついで長期間歩けることも分かったし、
それはそれで、自分が踏み入れたことのなかった領域への自信へも繋がった。

だけど・・・
本当に心にも体力にも余裕のない山行だった。
だから、帰ってからデジカメ画像見ても余裕のなさが分かる。

『一体、何取ったんだ?コレ?』

っていうのうが、沢山あった。
いつもはちゃんと考えるホワイトバランスも全然考えてなくて、
せっかくの青空が真っ白だったり・・・
露出オーバーだったり。

多分、一眼で撮った写真も、そんな余裕のなさが表れていると思う。

テン場も、
「早く行かなきゃ、場所がなくなる〜」
なんて心の中に少し焦りがあって、
100%ゆっくり思うままに楽しんで歩けたかと言うと、そうでもない。

雲の平のイメージも静かでひっそりとした秘境というイメージだったから
もっと静かな雲の平に行きたいと思った。

当然のことだけれど、奥へ行くとそれだけ戻らなければならない距離も長くて、
本当に動けなくなったときの危機感を、今まで分かっているような気でいて
それを本当に思い知らされた気がした。

あと、下山してきたとき、
何だか心に小さな穴が開いているような・・・
何か物足りないような・・・
もの寂しいようなそんな心地がした。

人が多い中にいて、単独だったから?
それとも、秋だから・・・?






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