朝日岳・雪倉岳・白馬岳

日程:2016年10月9日〜11日
単独




お天気の悪かった8月末の夏休み。
色々出かけられない事情が続き、ストレスを感じ始めていた。
9月の連休を狙っていたけどまたまたお天気イマイチ。
10月中旬を逃したら北アの無雪期が終わる。

前々から朝日・雪倉へ行ってみたかった。
そして朝日小屋に泊まってみたかった
収容人数が少ないから要予約。
9月24〜26日で、朝日小屋と白馬山荘に木曜に予約を入れる。
お天気悪く、キャンセルさせて頂く。
(ごめんなさい。)

10月1〜3日で、今度こそと予約を入れる。
呪われているかのように、金曜日あたりに天気予報ががらりと変わる。
申し訳なさいっぱいながらもキャンセルさせて頂く。
(本当に本当にごめんなさい。)

10月の3連休・・・
本来ならあほあほ隊 秋の陣の時期だが残念ながら今年は開催されない。)
土日はお天気が悪そう。でも月曜日から良さそうな予報。
では、9日〜11日(日月火)で(*^ ^*)


朝日小屋は9日で営業終了。
この段階で蓮華温泉から朝日岳を先に回るルートが確定。
日曜だけが天気が悪いけど、この日だけ我慢すればあとは快適な登山が出来そうだ。

再度朝日小屋に予約の電話。
もう2回もキャンセルしているので名前は覚えられている^^;
今度は必ず行きます!と約束。
9日は小屋締めなので、従業員も一緒に夕食を楽しみたいと思います、ということで
楽しみにしています!!と私。
幸い天気予報直前まで大きく裏切ることなく予定通り土曜の晩に出発。

今回、北陸経由で約400km。遠い!!
金沢あたりで豪雨、稲妻。
トラックの後ろを走っていると後輪からの水しぶきで何も見えなくなり怖いが
ぬかす瞬間が一瞬何も見えなくなるのでこれまた怖い。
新潟に入った暗いから小降りになった。
糸魚川から下道40km。
国道から曲がって蓮華温泉へ向かう山道は、蝙蝠が飛んでいたり、
地面をカエルやトカゲが道を横断してきたりで薄気味悪かった。

0:00 蓮華温泉到着

蓮華温泉の駐車場は外灯もなく真っ暗。雨が降って辺りも良く見えない。
トイレがあるのかないのかも分からない。
雨の中ヘッドランプを付けてトイレを探しに行くのもおっくう。
あまりの暗さにヘッドランプに変な虫が寄って来ても気持ち悪いし、と思い、そのまま就寝。

何時に起きようかな?
清水さん(朝日小屋支配人)は朝薄暗いうちから出発してください!!
と言っていたけれど、、、雨次第だな。

当初、天気予報では朝の6時ごろが降水量6mmと一番多く、12時頃から回復となっていた。
蓮華温泉は電波が全く届かず、携帯が使えない。
天気予報、そのままだろうか・・・?
地図のコースタイムでも7時間ちょっとくらいなのでそんなに慌てなくてもいいだろう。
とりあえず目覚ましを5時にセットして寝る。

終始雨と風の音で眠りはものすごく浅い。
寝ているのか寝ていないのか分からない状態のままで5時を迎えた。
外に出たくない、、、と思わせる雨の音。
風が雨をたたきつける。これ止むの?

じっとしているわけにもいかず、しぶしぶ準備を始める。
出発近くなって幸いにも雨が少しマシになった。



1日目
行程:蓮華温泉〜兵馬の平〜五輪尾根〜吹上のコル〜朝日岳〜朝日小屋


6:20頃 出発

雨具をしっかり着込み、スパッツを付け、出発。
登りは暑くなるから半袖Tシャツ1枚にした。
こんな雨の中を歩くのはいつぶりだろう?
雨なのでコンデジも含めてカメラはザックへしまった。

明るくなって気づいたけど、駐車場の近くにとってもきれいなトイレが設営されていた。
私がトイレに立ち寄る頃、1組の夫婦がトイレ付近を出発。
この方々も朝日だろうか?白馬かな?

トイレ前の登山届ポストに届を提出し、朝日岳方面に向かった。
キャンプ場で先ほどの夫婦が雨宿りしながら、ザックをごそごそしている。
心の中でお先です〜、と先を行った。

蓮華温泉からまず兵馬の平までひたすら下る下る下る下る。
えーまだ、下んの〜、下るということはその分登らにゃならんではないか。
ぶつぶつ言いながら下っていると木の根っこに足を滑らせいきなり転倒。
出だし不調。あまりこけない私。ちょっと嫌な予感。

この辺りは木の根っことか、木道が多く、そこに苔が生えて非常に滑りやすい。
気を抜くとこけそうになるので慎重に歩く。







こんな大きい立派な橋が2つほど。一つは瀬戸川、もう一つは白高地川か。
それ以外にも川多し。
いずれも雨で増水、すごい濁流だった。

ここを越えるとカモシカ坂。

このコースはなんせ川が多い。
トータルで15以上はあったのではないかというくらい。
そして川がそのまま登山道だったり。
増水しているから?普段はそうでもないんだろうか?

途中、一番ひどいところで滝のような箇所があり、他に道という道はなく、
滝に沿って上に上がるのか、それとも下なのか、特に目印も見当たらない。
ここを上がって違ったらいやだし、、、と考えている間に先ほどの夫婦が到着。
下はないだろうね、、、ということで上に行くことに。
先にいって頂く。ジャバジャバと滝の中を。
これだけ増水しているとそうする他ないですよね。。
そして私も仕方なくジャバジャバ。

すこし小腹が減ってきたので、シャリばてにならないようにおにぎりをかじったりするも
雨なので休憩と言う休憩はとらずにそそくさと歩く。







おそらく五輪高原あたり、かな。
天気が良ければ、もっといいところだろうに。。

ここからまた木道が続く。
そして五輪尾根の登りの木道あたりから下山客と数名すれ違う。
そのうちの1組の母娘によると、今日、白馬の方に行く予定だったが
酷い強風でもと来た道の下山を清水さんに勧められたという。
そんなに荒れているのか。。
そして、昨日は登りで10時間かかったと?!
え、そんなにかかりますか??
そしてここからも川越え6つくらい。
20cmくらいの深さのところに足をつけないと渡れないところもありますよ、と。
ホント〜〜?!

気分が萎えかけ、しかし、半信半疑で前に進む。
確かに川越えは沢山あったが、幸い20cmの水に足をつけることはなかった。(ホッ)





これはまだマシな方だが、こんなところが非常に多い。


登りで寒くはないが、強い風で体表が冷えてきた。
稜線の強風・・・にさらされる前にと、青ザクで、雨の中おっくうながらも
薄手のフリースと手袋を装着。
(これが後々、正解だった。)


尾根を上がりきり平坦になったところで、朝日岳まであと1.4kmの表示。
もう到着した気分。
このあと、悲惨なことになるとも知らず。。。


12:10 吹上のコル(千代の吹上)
(地図には千代の吹上とあるが、現在の地図では吹上のコルになっているんだろうか?
2004年の地図は古すぎるよね^^;)

ここまでも十分風は強かったが、さらに勢いを増してきた。
やだな〜とぶつぶつ言いながらも朝日岳方面に向かう。
するとコルから100mくらい進んだところくらいから、風が強すぎて前に進めない。
両足で立っていても吹き飛ばされそうで、片足を上げるとすぐに飛ばされる。
時には立っていることもままならず、岩にしがみついたり、抵抗を抑えるためにしゃがんだり。
風が止むのを待ちたかったが、一向に弱まる気配はなく、それどころか、強さは増すばかり。

別に悪いことしていないんですが、山の神様が怒っているのかと、
念仏のように「ごめんなさい、ごめんなさい、風を弱めてください、お願いします」
そんな願いは全く届かず、それどころか、これでもかと言わんばかりに勢いを増してくる。

このままじっとしていたら低体温症になってしまう。。。
こうやって遭難するんだ。。。

と思うと怖くなってきて、止まっちゃいけない、ちょっとずつでも進もうと
風の抵抗をなるべく受けないように姿勢を低くしながら
ときには四つん這いになりながら、少しずつ前に進む。
それでも体はどんどん冷えてきて、見えないゴールに無事辿りつけるのかどうか不安で怖かった。

依然風は強いものの、少しばかり風がましになり、
なんとか通常の二足歩行できるようになったところからしばらくして
朝日岳頂上の標識が見えた。

そこに、登山者が一人。
死ぬかと思った中、人がいて、ホッとしすぎて一方的に話かけてしまった。
それに対し、「ここからは風の強いところはありませんよ、安心してください」と
その方のとても温かい言葉でようやく、さきほどの極度の緊張から肩を撫で下ろすことができた。

彼は朝日小屋関係者で小屋締めのために来たという。
まだ山をはじめて1年くらいというが、足取りはしっかりとしていて、初心者とは思えない。
話が上手で朝日小屋まで楽しませて貰った。


朝日小屋までの道中、一人の男性が私たちに追いついた。
この方は、土曜、親不知から入って栂海新道から来られたという。
あとで地図で見てビックリした。

朝日岳山頂で会った彼が朝日岳に向かったと同時に、
4人の山岳救助隊が雪倉に向かったという。
というのも、この日、白馬から朝日小屋に向かうはずの出版社勤務のTさんが音信不通だとか。
(その後、救助隊4人はあまりの強風で雪倉の稜線にさえ上がることができず、
二次遭難を避けて引き返してきた。)






13:30 朝日小屋到着


ホッとしたもののまだ少し緊張状態。
小屋に入ると、スタッフの女性が濡れたザック等を吹く為の雑巾と、温かいお茶をくれた。
玄関が乾燥室のようになっていて雨具など一通り干して受付。
スタッフの笑顔、清水さんの明るさに緊張が徐々にほぐれていった。

部屋に入って荷物を出すと、あちゃ〜〜〜〜
見ごとにザックの中もびしょびしょ。
幸いダウンは無事だったので一通り部屋の中に干し、
ダウン上下を着て廊下にあったストーブの前に座り込み、冷え切った体を温めた。

朝日岳頂上であった男性(Y1さん)に他の関係者と一緒に飲みませんか、と誘って頂きご好意に甘える。
そこには、JECCに所属していて、本も出版されたという
日本でもかつて有名だったクライマーの方、とか
国の機関の方とか、山の上の診療所の医師の方とか、とても経験超豊富な方ばかり。
ここに書くことはできませんが、業界のビックリ仰天裏話とか沢山お聞きしました。

そしてそんな話が弾んでいるうちに夕食の時間。大宴会の始まりです!!




山小屋のご飯とは思えない晩御飯♪
一人一本ビールサービス!!
イエイ!!




「今日は大将が駆けつけてくれて、、、」
という清水さんの紹介で周りがざわざわ。
大将って??!大将って??
聞いてみると小屋のバイトさんでした。
大将っても女性です。
あとで持ち回りでこのプルコギを振る舞ってくれました。





清水さんの挨拶をキックオフに2016年小屋締めの飲み会スタート!!
ビールに他に、日本酒、ワイン、焼酎飲み放題。
あと2日間あるのと今日のことで結構疲れたのでワインは2杯までに。

私の席は単独の方で集められた席だった。
単独者4名。
向かいの方は先ほど朝日の下りで一緒になった方(Y2さん)。
隣は鹿児島から遥々。
斜め前は次の日1日で栂海新道を下りきると。。。すごい。
色々会話も弾み、食べ終わってから私は部屋へ。
清水さんの美しい歌声が聞こえてきた。
皆さんとてもたのしそう。そうとう盛り上がっている。

同室には母娘の親子。
お母さんであり、山友なんです(にこっ)と娘。
いいですね。
本当はもう一人同室の方がおられるが到着していない模様。

再び廊下のストーブへ。
行きに会ったご夫婦の奥様がおられた。
ご夫婦で健脚そうだったが、吹上のコルからの暴風には死ぬかと思ったとのこと。
やっぱりね、みんな怖かったよね。。

しばらくするとまたまた関係者の方に「飲みに来い!!」と^^;
もうお酒はいらないので、談話室にあるハーブティーでご一緒する。
このクライマーの方のお話が面白い。
周囲はかなり変人扱いしたそうだが、私からするとヒーローだ☆

まだあと2日あるので、8時半ごろに就寝しに部屋に戻る。
周囲の景色の様子も分からず星空撮影の予定もなく
目覚ましを4時半ごろに合わせて就寝した。


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